診療について

変形性膝関節症とは

はじめに

膝関節は、大腿骨・脛骨・膝蓋骨という3つの骨から構成されている関節です。骨の表面は「関節軟骨」という組織で覆われています。関節軟骨は多くの水分を含んでおり、歩行時などに関節に生じる負担や衝撃を吸収し、関節の動きを助けるといった働きをしています。この関節軟骨がすり減ってしまう状態を変形性膝関節症と言います。現在、65歳以上の80%に関節軟骨のすり減りが生じていると言われています。また、日本人の大部分はO脚を呈し、膝の内側から軟骨がすり減る内側型変形性膝関節症となります。

症状

変形性膝関節症の初期段階では「椅子からの立ち上がり」、「歩き始め」、「階段の昇り降り」「膝の曲げ伸ばし」などの動作で膝に軽度の痛みが出現します。進行すると膝が腫れたり(水が溜まる)、強い痛みが生じ、また安静時にも痛みが生じるようになります。
末期になるとO脚も更に強くなり、歩くことすら困難となっていきます。

治療

変形性膝関節症の治療には、主に保存療法と手術療法があります。
保存療法とは、理学療法(ストレッチ・筋力増強練習・歩行練習・日常生活練習・減量など)や、装具療法(足底板・膝装具)、薬物療法(ヒアルロン酸注射・内服薬・湿布など)があります。
保存療法を実施するうえで、単に疼痛の軽減(痛み止めの薬や関節注射など)のみを目的とすると、日常生活の活動量をより増加させ、かえって関節軟骨を悪くする恐れがあります。
当院では理学療法を主体とする保存療法を原則とし、疼痛の軽減だけでなく関節の負担軽減も考慮して治療しています。
また、遠方でなかなか通院できない方や短期集中でリハビリが必要な方などには、変形性膝関節症の理解を深め、身体機能や日常生活を改善していただくことを目的としたリハビリ入院(2週間程度)も受け入れております(ベッドの空き状況によります)。
このような保存療法を実施しても、痛みの改善や、日常生活動作が改善しない場合には手術療法を実施します。
手術療法には、損傷した半月板や、削れた軟骨のかけらなどを掃除する「関節鏡視下手術」や、脛骨を切りO脚を矯正する「高位脛骨骨切り術(HTO)」、すり減った関節軟骨を取り除き人工物をかぶせる「人工膝関節全置換術(TKA)」があります。

終わりに

関節軟骨は修復する能力は低く、一度すり減った軟骨は再生しないとされています。
そのため日々の日常生活で膝にかかる負担を軽減させ、関節軟骨のすり減りを「予防」することが大切になります。
当院ではこのような変形性膝関節症の治療に力を入れていますので、膝に痛みを感じたり、何か不安を感じた場合は気軽にご相談下さい。